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安全性確保・衛生管理事業
 
     
     
 
 

果物類と加工品

1, 甘夏みかん缶のナリンギナーゼとは
2, 輸入黄桃缶詰のシロップが赤く変色
3, 輸入黄桃角切缶のシロップが白濁
4, 黄桃角切缶詰のシロップがゼリー化
5, 黄桃角切缶詰の果肉表面に黒い斑点
6, 白桃缶詰の果肉が紫色
7, パイン缶詰の果肉が褐色
8, パイン缶詰のシロップが白濁
9, パイン缶詰の中に黒い粒付着
10, みかん缶詰に黒く変色した果肉と内皮混入
11, みかん缶詰のシロップが白濁
12, りんごピューレ缶の1号缶と2号缶で中身の色が違う
13, ポンカンの表面に白い粒付着
14, ノーワックスのりんごがべたつく
15, キウイの中に木片が混入
16, オレンジマーマレードに白い結晶

 

 
 

【 Q 】  甘夏みかん缶の原材料表示にある、ナリンギナーゼについて教えて下さい。

【 A 】

 これは、原料の夏みかんが持つ苦味を取り除く目的で使用されている酵素のことです。
 夏みかんやグレープフルーツなどの大型柑橘類は、ナリンギンと呼ばれるフラボノイド系の苦味成分を多く含んでいます。果皮に最も多く、果肉、果汁等にも含まれています。この苦味成分は水に溶けにくい性質を持っていますが、凍結や加熱、あるいは強い力で絞ったりした場合に水溶性に変化することがあり、果汁や缶詰のシラップの苦味の原因となります。
   ナリンギンは、酵素のナリンギナーゼを作用させると無味のナリンゲニンに変化しますので、苦味の強い柑橘類を原料とする缶詰やジュースの製造では、加工の際にこの酵素を添加して苦味を調整します。缶詰製品ではシラップに混ぜて使用しますが、程よい苦味になるまではある程度の時間を要します。本会取り扱いの甘夏みかん缶の場合は、製造後2~3ヶ月経ったものが苦味も抑えられて美味しいものになっています。
 また、みかん缶の表示でヘスペリジナーゼという名前を目にされる事があると思います。
 これは、シラップの白濁防止に使用される酵素です。みかんにはヘスペリジンと呼ばれる成分が含まれており、それがシラップに析出した場合に液汁が白濁することがあります。ヘスペリジンはビタミンPとも呼ばれ、この現象は品質に異常のないものとして説明している事例です。ヘスペリジナーゼという酵素により、ヘスペリジンはヘスペレチンへと分解されます。ヘスペレチンは可溶性で結晶化しにくいので、白濁の原因とはなりません。更に白濁に関しては、缶詰用みかんの酸度や糖度を適正な値に管理することで、ほとんど無視できる微量にすることができるようになり、お問い合わせいただくことも大変少なくなりました。
 これらのナリンギナーゼやヘスペリジナーゼ等の酵素は、みかん缶やジュースの白濁、苦味を抑えるために欠くことのできないものですが、使用されていても、缶の一括表示に記載されていない場合もあります。これらの酵素は加工助剤とみなされ、缶詰では原材料名としての表示が免除されているためです。よろしくお願いします。
 
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【 Q 】  輸入黄桃缶詰で、1缶だけシロップが赤味を帯びて濁っていました。
果肉も柔らかくておかしいようですが ・・・

【 A 】

 ご心配をおかけしましたが、原因は桃の色素が溶け出たもので、ピンホール等による腐敗ではありませんでした。
 まず、果肉が柔らかいことから、過熟であったため色素やパルプが溶け出たのではないかとして調査を進めましたが、1缶だけの発見であることや、果肉の状態から殺菌工程でのオーバーヒートが推定されました。おそらくミスにより二度加熱殺菌されたものと考えられます。
 次に、オーバーヒートによる褐変も赤味の原因にならないかと考えましたが、調査にあたった食品研究所の判断ではむしろ桃のもつアントシアニン色素 ( クリサンテミン ) が溶け出たものではないか、とのことでした。
 アントシアニン系色素は熱、酸、金属などにより変化しやすい不安定な色素ですので、今回のような熱による色調の変化について更に照会したのは、詳しいメカニズム等について、不明とのことでした。ただ、もも缶詰ではスズイオンにより紫色に見える青色キレートを形成するとの資料がありましたので、これによるものかとも思われます。
 生産地の工場に対しては、メーカーより管理強化を指示しております。
 
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【 Q 】  輸入黄桃角切缶詰のシロップが、白く濁っていました。
使用しても大丈夫ですか。

【 A 】

 これは、黄桃の果肉が過熟気味なために身くずれを起こし、その破片の繊維成分によってシロップが濁ったものです。害のあるものではなく、使用していただいて大丈夫です。
 この物資は、中国・九州地区の共同購入品で、広くご使用いただいているものです。現在お届けしているものは南アフリカ産です。外国産のものとしては、チリ産、ギリシャ産とともに良質な製品で定評があります。価格的にも安く、生産国でも輸出に力を入れているものです。
 しかしながら、生産規模や品質面での考え方の違いもあり、やや熟した(生食用としてはおいしい)果肉が混じることが多いようです。輸入物の場合、熟度の進んだ原料が混じっていると国内産のものに比べて輸送に時間を要すため、振動によって身くずれが起きやすいようです。
 現地での原料の収穫時期は1~2月頃で、それを缶詰に加工します。缶詰、特にシロップ漬けのものは、賞味期間は半年~1年以降のものともいわれます。製造直後は、果肉にシロップが十分なじんでいないので本当のおいしさが引き出せておらず、製造後3ヶ月程度以上は経ったものが、おいしく感じられるようです。
 ただ、身くずれのひどいものについては、製品交換させていただいておりますので、よろしくお願いします。
 
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【 Q 】  黄桃角切缶詰のシロップが、ゼリー状に固まっていました。

【 A 】

 これは文字通りゼリー、ジャム、マーマレードなどと同じく果物(ここでは黄桃)に含まれているペクチンがゲル化(ゼリー化)したものです。別段変質などの異常ではありませんのでご安心ください。
 ペクチンは野菜、果物など広く植物体の細胞膜や細胞間に含まれる多糖類の一種で、食物繊維にあたります。未熟な果物など植物体中のペクチンは、大部分不溶性のプロトペクチンの形で存在します。一般的には乾物の2~7%含まれますが、柑橘類の果皮には果肉より極端に多く、夏みかんの皮や袋では 18%前後も含まれます。熟度が進むにつれて水溶性ペクチンとなり、組織はやわらかくなります。
 ペクチンを適量の水、砂糖、酸とともに加熱すると、特有の性質をもつゲルをつくります。
これをゼリー化といいますが、果実または果汁に砂糖を加えて煮詰めていき、一定の比率になったときジャムやゼリーが出来るわけです。柑橘類では皮の細片を混ぜるとペクチン含量が高まりゼリー化が容易になります。
 今回お尋ねの黄桃缶では、黄桃の熟度が高く、しかも角切りということでペクチンの溶出量が多く、缶詰の加熱殺菌によって砂糖シロップとともにゼリー化したものと思われます。
 生産国は南アフリカで、輸入物の中ではギリシャ産、チリ産とともに良質な製品で定評があります。熟度の管理によって多少なりともこのような現象を防止できないか、輸入メーカーにも相談し、指導する旨の返答は得ております。しかしながら、未熟な果実が使用されることにつながる恐れもあり、ご理解をお願いいたします。
[引用資料]
 ・河野友美、他編「調理科学事典」(1975・医歯薬出版)
 ・河野友美編「果物・種実 新・食品事典」(1991・真珠書院)
 
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【 Q 】  黄桃角切缶詰で果肉表面に黒い点が付いていました。
食べても大丈夫でしょうか。

【 A 】

 ご心配をおかけしましたが、原因は原料黄桃果実の黒星病により皮が剥け残った痕が変色したものです。なお、この部分を食されても身体に害はありません。
 この黒星病の特徴は、果実の肩付近に暗緑色のそばかす状の丸い斑点が出来ることです。極端な場合は、この斑点が寄り集まってカサブタ状になり、表面がコルク化して果実の肥大が妨げられ、割れ目が出来ることもあります。この斑点が出来たことにより果実が腐敗することはありませんが、缶詰加工の際は皮を剥くことが困難になります。
 黄桃角切缶詰の製造工程は、原料の工場受け入れ後、選果(病虫害果の除去・着色果・核割果、熟度の選別)し、洗浄、種取り、蒸煮の後、アルカリ剥皮を行います。混入原因として、当該原料は正常な皮に比べて剥けにくいこと、また、皮が残る部分が角切りの切断面付近にあることが多いため、残った皮が選別工程で見逃され充填されたと思われます。
 製造者に対しては選別工程での混入を防止するよう申し入れを行っています。
 発生事例を写真に撮りましたので、参考までに掲載します。
 
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【 Q 】  白桃缶詰を開缶すると、果肉が紫色に変色していました。

【 A 】

 これは、主に核を除去した後の周囲の果肉にみられます。メーカー他の資料により、ご説明します。
 成育中の桃に日光が当たると、果肉や核の周辺に赤色の色素(アントシアン系のクリサンテミン)が生成されます。これは青果でも見られる現象です。この色素が缶詰中のスズや鉄イオンと結合して、安定した青や紫色の色素になったものです。食べても有害なものではありませんが、缶詰食品として紫色に変色した場合は見た目には好感がもてないため、苦情の対象になることがあります。これを防ぐためには、アスコルビン酸や酵素処理によって還元する方法があります。
 メーカーの今後の対策は、還元処理によっても完全には防止できないため、選別作業人員の増員などの対策を講じて原料選別の段階であまりに濃い色素のものは除き、更に肉詰めの工程で選別の強化を行うというものです。今後の品質安定を期待したいと思います。
[引用資料]
・東京都「食品の苦情Q&A・追録板」(1996)
 
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【 Q 】  パイン缶詰の中に、果肉が褐色になったものが混じっていました。

【 A 】

 パイン缶の中に、果肉が褐色またはピンク色に変色したものが混じっていることがあります。
これは一般にパイン缶のピンク病と呼ばれる褐変現象で、もし食べられても害のあるものではありません。
 パイン缶に発生するこの褐変現象は、果肉が褐色またはピンク色に変色するもので、生果のままでは判別がつかず、缶詰にパックされた後の殺菌加熱により発生するものです。開缶後に消費者からの苦情によって発見される例がほとんどです。従って現在でもその防止策は極めて困難とされ、メーカーではその対策に苦慮しているのが現状です。
 ピンク病の発生はハワイ、タイなどの海外生産地だけでなく、沖縄でも毎年のように発生しているといわれます。ピンク病の発生のメカニズムはまだ不明な点も多いようですが、原因となる細菌と褐変色素の生成などについては沖縄県などで研究が進んでいます。
 一般に果実類缶詰にみられる果肉の褐変は、酵素によるものと、糖とアミノ酸の結合(メイラード反応)によるものが知られています。このメイラード反応ではショ糖の分解物のブドウ糖と果糖が関与します。
 ピンク病の場合は、通常のメイラード反応とはメカニズムが異なることが判っています。糖類から原因菌によって褐変物質の前駆体が生成され、そこにアミノ酸やタンパク質が何らかの形で結合して褐変物質が形成され、加熱により促進されることが明らかになってきました。褐変果肉の安全性についても動物試験が行われ、毒性等の問題はないとの報告があります。病果発生因子も湿度やアスコルビン酸などが関与すると判ってきましたが、原因菌の農場における 防除は薬剤散布にも限界があり、極めて困難とされています。しかも青果物の状態で判別することも困難なため、現在でも技術開発が望まれているところです。
 次善の策としては、いずれの国においても発生時期が一定時期に集中する傾向にあるようなので、ピンク病が発見されたロットについてメーカーと連絡をとり、農場の防除など対策を練ることかと思われます。しかし、国内で流通するものは大量に買い付けられて既に製品として在庫している場合がほとんどで、これも有効な対策とはなり難いのが実情です。
 なによりも消費者の方々に以上のような点をご理解いただき、褐変果が少量の場合は、その部分だけを除いて使用していただきたくお願いいたします。
 なお、パイン果肉での実物を捜そうとするとなかなか目にし難いものです。メーカーにもカラー図鑑を尋ねましたが、ないとのことです。発生事例の写真を撮っていましたので、参考までに掲載します。
[引用資料]
 ・日本パインアップル缶詰協会
   「パインアップルニュース号外」(平成3年 12 月)
 
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【 Q 】  パイン缶詰のシロップが白く濁っており、果肉も軟弱でした。

【 A 】

 これは変質によるものではありません。原因は、原料のパイン果肉がやや過熟気味であったため、外部からの衝撃により身くずれ、沈澱したパルプの浮遊等を起こし、濁りを生じさせたものです。
 通常のパイン缶原料としての果肉糖度は、12 ~ 13%程度とされていますが、未熟果の混入による事故防止のため、若干糖度の進んだ果肉側に選別平均基準がおかれているようです。未熟果は白い果肉ですが、適熟以上のものは黄色をしています。
 輸入物では通常品にも多少なりとも果汁が使用されておりますので、白濁は見られるようです。他にも、みかん、桃、たけのこなど、果肉パルプ、果肉成分による白濁を生じる缶詰がありますが、いずれも品質上の問題はありませんので、よろしくお願いいたします。
 発生事例を写真に撮りましたので、参考までに掲載します。

通常品

白濁品

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【 Q 】  パイン缶詰で、パインの切り口に黒褐色の粒が付着していました。

【 A 】

 いただいたパインを早速調査しましたところ、確かに果肉の中にゴマ粒のような黒褐色の粒(2~3㎜)が入っているのを確認しました。この粒はパイナップルの種であり、虫などの異物ではありませんのでご安心ください。なお、この種子は食べても害はありません。
 一般にパイナップルに種のあるものはまれなので、異物として心配される方もあると思われます。資料に従ってご説明します。
 栽培種のパイナップルは、同品種間では受粉した場合であっても受精できず、種子はできません。これを「自家不稔性」または「自家不和合性」といい、各種の果樹類、キャベツ、白菜、大根などのアブラナ科野菜などで知られています。
 パイナップルの大量栽培では種子から育てるのではなく、果実の基部や上部につく葉を直接畑の土に挿します。やがてここから根が出て、葉を増やして果実をつけるようになります。これを「単為結果」、または「単為結実」といいます。種なしブドウなども同様に「自家不稔性」の品種が使われます。花をつけ、結実しますが種子はできません。
 「自家不稔性」の植物であっても、異品種間では当然のこととして受精し、種子をつけます。また、野生種のパイナップルは「自家不稔性」ではなく、受精し、種子をつけます。しかし、野生種をわざわざ栽培することは通常考えられません。お尋ねの事例では、昆虫などが媒体となって遠距離の異品種間での受精が行われ、種子をつけたものではないかと思われます。非常に珍しい例に出会ったというように考えていただければ、幸いです。
 なお、実物を探そうとするとなかなか難しいものです。今回、写真を入手しましたので、ご紹介します。
[引用資料]
 ・全国食品衛生監視員協議会編 「食品苦情処理事例集」(1992 中央法規)
 ・コープこうべ 「商品クレーム事例集」(1994)


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【 Q 】  みかん缶詰に、一部が黒変した果肉が入っていました。
また、内皮の混入もありました。黒い部分はかびではありませんか。

【 A 】

 ご心配をおかけしました。黒変した部分は、懸念されたようなかび等ではなく、虫害果と呼ばれるものでした。みかんの内皮混入とともに、選別工程で除去されずに混入したものでした。
 生果を食べる際、外皮の内側と果肉が癒着して硬い状態になったりしたものに気づかれた場合があると思います。これはカメムシなどの昆虫が付いて外皮の上から汁を吸った後、果肉の細胞が萎縮したものです。時間が経てば徐々に黒変し、発見しやすくなりますが、初期は白っぽい塊にしか見えません。
 また、みかん内皮の除去工程についてですが、缶詰の製造工程において、剥皮機で外皮を剥皮した後、果肉の1袋ずつに水圧で実割をします。この後、薬品処理工程で内皮を溶解剥皮します。これは塩酸と苛性ソーダで行い、みかん果肉にダメージを与えないよう薄い濃度で処理を行います。この際、みかんの大きさの違いにより完全に溶解されず多少残ってしまう場合が発生します。あるいは、みかんが密着していた場合、薬液による内皮溶解が出来ず残ってしま うことがあります。
 これらはその後の選別工程で除去されますが、コンベア上でみかん果肉が重なったりしていたために見逃してしまったため、製品に混入させてしまったものと思われます。
 メーカーに対して今後、選果、剥皮および選別工程で、病虫害果や内皮他の除去に十分注意を払よう指導を行いました。ただ給食の安全確保の面からは、指導の方法にも十分な配慮を行う必要があると思います。
 カメムシ等の虫害による黒変防止は、発生源根絶のために農薬を多量に散布する他ありません。そうはしないで選別の強化に頼ることで出来るだけ除こうと努力している現状を、ご理解いただきたく存じます。

虫害果

みかん内皮
 
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【 Q 】  みかん缶詰で、1缶だけシロップが白濁していました。
使ってもよろしいですか。

【 A 】

 みかんにはヘスペリジンと呼ばれる成分が含まれており、それがシロップに析出した場合に液汁が白濁することがあります。このヘスペリジンはビタミン P とも呼ばれ、この白濁現象は品質に異常のないものです。
 みかん缶の表示に「ヘスペリジナーゼ」という名前を目にされることがあると思います。これはシロップの白濁防止に使用される酵素です。
 ヘスペリジンヘスペリジナーゼにより、ヘスペレチンへと分解されます。このヘスペレチンは可溶性で結晶化しにくいので、白濁の原因とはなりません。このような酵素は、みかん缶やジュースの白濁を抑えるために欠くことのできないものです。
 更に白濁に関しては、缶詰用みかんの酸度や糖度を適正な値に管理することで、ほとんど無視できる微量にすることができるようになり、お問い合わせいただくことも大変少なくなりました。
 
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【 Q 】  りんごピューレ缶の1号缶と2号缶で、かなり色が違っていました。

【 A 】

 ご指摘品を見ますと、確かに色が違っており、2号缶の方が濃褐色でしたが、いずれも正常品です。両者の色の違いは、加熱殺菌時間の差により生じたもので、別に害があるものではありませんのでご安心下さい。
 元々、りんごの果肉中には多量の空気が含まれており、酸化反応が起き茶色に変色しやすいものです。剥いたりんごが褐変する現象です。缶詰にする場合、加熱殺菌するわけですから、この反応はさらに進みます。
 製造条件としては、りんごピューレ1号缶は加工した原料りんごをそのまま充填しますが、2号缶についてはl缶に詰めたものをリパックして作られます。従って、両者の加熱時間はかなり違ってきます。
 色調の差が出る原因として、原料りんごの大きさ、色、糖度等の品質の違いが挙げられます。
 また、りんごの加工は収穫後すぐに加工されるものと貯蔵庫に入った後加工にまわされるものがあります。使用されている「ふじ」は貯蔵力が優れているといわれていますが、多少は変化します。
 さらに同一ロットで充填された製品中でも最初と最後の製品での空気に触れている時間の差、加熱殺菌後の冷却条件の差が酸化の差となる可能性もあります。
 これを防ぐためには、アスコルビン酸や酵素処理によって還元する方法がありますが、まったく差がないという訳にはいきませんので、ご理解下さい。
 りんごの皮を剥いてそのままにしておくと茶色に変色する理由は、果肉に含まれるポリフェノール系成分(タンニン、クエルセチン色素、クロロゲン酸)が酵素(ポリフェノールオキシダーゼ等)の働きによって酸化を促進され変化を続け、最後にメラニン様の褐変物質に変化することによります。バナナ、ナシ、レタスなどが変色するのも同じ理由です。
[引用資料]
 ・東京都「食品の苦情Q&A・追録板」(1996)
 
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【 Q 】  ポンカンの表面に、白い粉が付着していました。食べても大丈夫でしょうか。

【 A 】

 これは石灰を含む農薬の一種で、多硫化カルシウムを主成分とした石灰硫黄剤、または炭酸カルシウムであろうと思われます。いずれも果実の表皮のみに付着しており、果肉への移行はなく、また安全性に問題となるものではありません。
 石灰硫黄剤は明治 40 年頃より実用化されました。ハダニ、カイガラムシなどの害虫や、黒点病、かいよう病などの病気やカビ防止に有効で、殺菌・殺虫を兼ねた安全な農薬として広く使用されてきました。
 炭酸カルシウムの散布は、薬害防止剤として果樹などの表面を保護する目的で使用されます。さらにポンカンや温州みかんなどの柑橘類については、果皮が果肉から浮いてブヨブヨになる現象の防止効果もあるとされています。これは、浮き皮といって、成育中の果皮からの水分減少や、果皮が雨水を吸収して膨らむことが原因です。商品価値を落とすとされています。
 また、これらのカルシウム薬剤は、みかんなど柑橘類の色付き促進にも効果があるといいます。特に早生みかんは皮部の色付きが悪く、緑色が残るので、カルシウム薬剤で皮部のクロロフィルの分解促進をはかることが多いといいます。
 地域によって異なりますが、早生みかんは9~ 10 月の5割ほど色付いた頃に散布し、晩生みかんでは 11 月半ばに散布されるようです。
 普通は収穫までに雨水などで洗い落とされますが、空気酸化して水に溶けない状態となっているので、まれに最後まで果皮に白い斑点状に残るものがあります。これも出荷前の水洗いでほとんど除かれますが、皮のひだなどに強く付着したものが洗っても落ちず、目にされることがあります。このような理由で果実の表皮のみに付着しており、果肉への移行はなく、安全性に問題となるものではありません。
 なお、本会が供給しているポンカンや温州みかんはノーワックスのものを購入しています。みかん生産者によれば、質問のような残存による苦情もワックス処理で完全に除去できて見かけの良いものになると、残念がっていました。果皮からの水分減少によるシワや、見かけのツヤなどの有無で選ばれる向きにはご不満でしょうが、ご理解の上ご利用下さい。

 
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【 Q 】  ノーワックスのりんごの表面がべとつくのですが。

【 A 】

 これは、りんごが持つ脂肪酸ろう物質が合わさって表皮部分に溶け出たためです。この現象を一般に油上がりと呼んでいます。別段、ワックスが塗られているわけではなく、一般的にもりんごには、元来ワックスの使用はありません。
 りんごの果皮にはパルミチン酸等の脂肪酸、ノナコサン等のろう物質、テトラコサノール等の高級アルコールが含まれています。このうち、パルミチン酸、ステアリン酸、トリアコンタン酸、リノール酸、オレイン酸の5種類の脂肪酸含量は、りんごの成熟が進むと増加します。また、リノール酸とオレイン酸は常温で液体で、しかもろう物質を溶かす性質があります。果皮のべとつきは、りんごの成熟とともに増加したリノール酸とオレイン酸が、ろう物質のノナコサン等を溶かして粘着性を出したものです。従って、この粘着性の物質は植物自体の持つ天然物で人体には無害です。
 市販品でも時々、ワックスが塗られているのでは?という質問が関係機関や販売者にあるようですが、りんごの場合ワックスでコ-ティングしてしまうと品質の低下を助長するため、使用されることはありません。粘着物質をりんご自身が出して表面を被うため、その必要がないわけです。
 品種によってその分泌量も異なるようで、津軽ジョナゴールド千秋などは熟度が増すにつれ出やすく、一方ふじのように少ないものもあるようです。ただ、どのりんごでも貯蔵期間が長くなると、このような傾向が見られるとのことです。
 本会が季節供給している温州みかんも、ノーワックスのものを購入しています。みかんの場合は、一般にワックス処理がされています。みかん生産者によれば、ワックス処理をすることで水分の蒸発によるシワが防止できる他、ハダニ、カイガラムシなどの害虫や、病気やカビ防止に使用した石灰硫黄剤や炭酸カルシウムを完全に除去できて、見かけのいいものになるのだがと残念がっていました。
 みかんの場合油上がりのような性質を持っていませんので、流通中の果皮からの水分減少によるシワが生じます。また、石灰硫黄剤などが果皮の穴に残って白く粉を吹き、心配されることもあります。シワの有無や見かけのツヤなどの善し悪しで選ばれる向きにはご不満でしょうが、ご理解の上ご利用下さい。
 
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【 Q 】  キウィフルーツの内部に、尖った木片のようなものが入っていました。

【 A 】

 異物かとご心配のようですが、これは外部から混入したものではなく、果実を支える果梗部(かこうぶ)という果実の一部でした。(写真1)県内の産地である「JAふくおか八女」より資料を入手しましたので、紹介します。
 キウィフルーツの果実は、多数の多心皮子房が発育したものであるといわれており、大きく分けて外果皮、内果皮、果心の各組織から成り立っています。果実の中心部にある果心と果梗枝の境にあるのが、この果梗部です(図1)。
 キウィフルーツはマタタビ科の植物で、原産地は中国揚子江沿岸とされています。1900年頃に中国からニュージーランドに渡って改良され、キウィフルーツの名で世界に広まったものです。果実の外観が、ニュージーランドにのみ棲息するキウィという鳥に似ているというのでこの名があります。温暖な地域での栽培が適し、主産地のニュージーランドのほか、アメリカ西部・オーストラリア・日本などで栽培されます。日本へは1964年に果実が輸入され、 1969年には導入した苗や実から初めて結実しました。
 栄養成分はビタミンCが非常に多く、レモンの約3倍もあります。カリウムも多く含まれています。またペクチンの含有量が多く、ジャム作りにも適しています。生果の食べ方は通常、二つ割にしてスプーンで食べるか、浅く皮をむき輪切りにします。輪切りの場合は普通両端の部分を落すので気付かないと思われますが、スプーンで食べるときに片方で果梗部が見られます。
 果実に蛋白質分解酵素のアクチニジンを含むので、肉料理と一緒に食べると消化を助けます。しかし、ゼリーを作るときにゼラチンを使った場合は、生の果実や果汁を加えると蛋白質であるゼラチンが分解酵素のため固まらなくなります。この場合は寒天などを使用します。
 日本で市場に出回っているキウィフルーツは国産品と輸入品がおよそ半々で、輸入品はニュージーランド産が約9割を占めています。日本とニュージーランドは北半球と南半球で季節が逆なので、国産は 12 月~翌年4月中旬まで、ニュージーランド産は5月中旬~ 11 月にかけてというように、出回る時期が異なっています。
 花は日本では6~7月に咲き、乳白色から黄褐色を帯びた色に変わり、花後葉のつけ根に1~3個の果実をつけます。収穫は 10 月~ 11 月頃です。採集後すぐに貯蔵すると長期間の保存に耐え、4~6ヶ月貯蔵できます。
 本会がお届けしている国産品は、八女市立花町産のものです。ご使用の日に合わせて追熟を行っておりますので、軟らかく多汁質で香、甘味、酸味がうまく合っておいしくいただけます。
ご利用をよろしくお願いします。
[引用資料]
 ・すべてがわかるキウィフルーツ百科 愛媛県青果農業協同組合連合会
 ・新・食物事典(果物・種実) 真珠書院

(写真1)

(図1)
 
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【 Q 】  オレンジマーマレードに白い結晶状のかたまりが入っていました。

【 A 】

 早速調査しましたところ、これは原料のみかん中のヘスペリジンと、夏みかんの中のナリンギンとが経時的に結晶化したものと判明しました。別に有害な異物ではありませんので、ご安心ください。
 ヘスペリジンナリンギンは柑橘類特有の苦味成分です。これらはリモニンなどと共にフラボノイド類に属し、かってはビタミンPといわれたこともあります。みかん缶詰やジュースでは白濁や苦味の原因となることもあります。
 マーマレード類は柑橘類の果皮を使用するのでフラボノイド類が多く、このような結晶が析出しやすくなります。特に果実含有率が高いほど経時的に結晶が出やすくなるとのことです。
 食品成分が経時的に析出して白い塊となり、異物と見誤る例は多くあります。たけのこ缶詰のチロシンとカルシウムによるもの、チーズや納豆のチロシンによるもの、蜂蜜の糖類の結晶、梅干の塩の結晶、鮭缶詰のマグネシウム化合物によるストラバイトなどが問い合わせ例に挙げられています。
 みかん加工品で代表的なものは、みかん缶詰でシロップが白く濁る現象があります。これもフラボノイドによるものです。最近は、缶詰用みかんでは酸度や糖度を一定以上に管理することによって、ほとんど無視できる微量になったとのことです。ただ、比較的少なくなったということで、みかんの個体差もあり、やや白濁するということもあるようですので、ご理解をお願いいたします。
 
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